ノチウサニ(ウタリア戦記 閃光のアーシュラ)
- マイオナ管理人
- 2020年9月6日
- 読了時間: 8分
※こちらの記事はリクエストにより作成されました。

真ん中の喋っている女性。
出典:漫画「ウタリア戦記 閃光のアーシュラ」
(作・山本夜羽)
アマゾン・キンドルによる配信 第一巻より
マイナー度 星5 ☆☆☆☆☆
01キャラクター名
ノチウサニ
( ※アイヌ語で「ノチウ」は「星」。「=サニ」は「=の子孫」という意。なので意味は「星の子」といったところか。)
02登場作品・作者
漫画・ウタリア戦記 閃光のアーシュラ
作者・山本夜羽
03登場シーン
漫画・ほぼ全編に渡り
04外見・特徴
・大きな黒い瞳に、ウェーブがかったロングの黒髪。アホ毛が一本のびている。
・パイズリ穴が合いたアイヌ風の民族衣装を着用 。というより服に対しておっぱいが大きすぎるのかもしれない。
・服は上下一体のようだが、下半身は深いスリットが左右にあるので脚も脇から丸見え。
・バンダナ、襟、腰布に渦潮のような模様がある。彼女の率いる軍にも同様の模様が見られるため、国のシンボルと思われる。
・イスカル国の将軍であり、連合の族長会議では大長老の名代を務め出席する。国の内外で高い信頼が置かれている模様。
・主人公のアーシュラに武芸のいろはを教えた師匠的な存在。
・「敵軍と真っ先に戦う」、「主人公の師匠」、「『しかるべき宿命』という予言をうける」、などとまぁ全身フラグ人間 。
・最期は生首になる。
05概要
作品について
『ウタリア戦記 閃光のアーシュラ』は山本夜羽による漫画作品。「月刊Gファンタジー」にて連載された。アイヌ民族から見た日本という世界観をもとに描いたファンタジー作品。作者ツイッターによれば、一年以上の取材を重ねた思い入れの強い作品ながら、編集部のお家騒動に巻き込まれ『連載直前に単行本1巻打ち切り確定』した無念の作品らしい。
お家騒動とはおそらく『エニックスお家騒動』のことであろう。株式会社エニックスの編集者らが退社し「株式会社マッグガーデン」を設立する際、当時エニックスで仕事をしていた漫画家を引き抜いたことにより発展した騒動である。作者・山本夜羽音の「巻き込まれ」という発言から、本人は特に関与していなかったと思われる。なお、当サイトで扱った「プリンセス=マリー」の作者・黒乃奈々絵もこの騒動で少年ガンガンから引き抜かれた模様。まさかのマリーはこういう経緯で生まれていた。
さて、本作品なのだが一年以上の取材を重ねたと言うだけありかなり世界が作り込まれている。本州から攻め入ってくる軍を蝗害に例え描写した蝗軍や、歴史上の人物・地名をもじったものなど、アイヌ文化のみならず様々な歴史をもとに構成されている。管理人はアイヌ文化に詳しくないが、服装から武器、背景の細部にかなりこだわりを感じる。
初登場
ノチウの登場は本編の第二話より。南より蝗軍が攻め入ってきたということを伝えに「フラヌイの都」へやってきた主人公・アーシュラたち。到着すると同時ひと悶着おこしているアーラシュのところにノチウは登場する。登場して早々回想に入り、アーシュラに武芸を仕込んだこと、信頼を置かれていることが描写される。
この師弟関係、どう見てもフラグである。
さて、敵国が攻めてきたという一大事のため「フラヌイ」では族長会議が開かれ、アーシュラは軍を動かし防衛戦をと進言する。しかし、連合はかねてより南からの蝗軍だけでなく北からもラスキア軍の脅威に迫られているため、南北に戦力を割くのに族長らは躊躇していた。
ここで、ノチウは立ち上がる。もとより南側に位置するイスカル国が攻められるのは時間の問題であるため、その将軍であるノチウが軍を率いて防衛戦することを引き受けた。「お前に武芸を仕込んだのは私だぞ」「蝗の千や二千蹴散らしてやる」「戦場で会おう」などとアーシュラに言い残し別れた。
初登場の話から丁寧にフラグを積み重すぎでは‥‥。
初戦にて
続いての活躍は第三話より四話にかけて。蝗軍に攻め入られていた「シコツの砦」に向かったノチウ軍が戦闘を始める。ノチウは圧倒的な数の差があるので正面から戦わず、策を施すことにした。まず、砦の人間を避難させ蝗軍に逃げたと思わせ後を追わせる。その先は谷底の迷路となっており、待っていた雨と網で飛ぶ鎧をもつ蝗軍の機動力を奪う。続いて雨で緩んだ断崖にムックリ(アイヌの口琴楽器)を共鳴させ崩し、蝗軍を一網打尽にした。
単純にして効果的な策略。初戦は鮮やかな勝利を飾った。さすがは一国の将軍。
ムックリ:「ビヨ~ン♪ビヨヨ~ン♪」というバネのSEみたいな音がする楽器。
口で挟んで音を調整するらしい。
四百日後
本編第五話。アーラシュが天に召命され姿を消し、物語はその四百日後から続く。グレゴリオ暦でいうと一年一ヶ月。ノチウはそれまでの間、主人公の帰還を待って戦い続けていた。「なんだ、フラグを立てまくったわりには結構頑張ってるじゃん。」と思いそうだが、そう甘くはない。アーラシュが帰ってきたことによって逆にフラグがしっかり回収されることになる。
押し寄せる大軍相手に四百日、どうにか生存してはいるものの、戦況は良くない。圧倒的な戦力差に押されており、自国のイスカルまで落とされた。その後奇襲に後退を繰り返していたが、アーラシュが帰還したときには自軍が蝗軍に囲まれピンチになっていた。
そして‥‥
ノチウの危機を知ったアーシュラは、仲間とともに救出作戦に来た。場所は火のはなたれた泥炭地。あちらこちらで黒い煙が上がっており、視界は最悪の状況でそこら中に蝗軍が潜んでいる。
そんなところに救出に来たアーシュラたちはうかつに近づけば当然狙い撃ちにされてしまう。ノチウは立ち上がり「近づくな」と叫んだ。そして‥‥いい的となってしまったノチウは胸に矢を撃たれた。
胸に矢を撃たれたノチウは仲間に後退を命じる。そして自分はアーシュラの進むべき道を切り開くと覚悟を決め、単身敵陣に特攻をした。『しかるべき宿命』の時が来たのだ。 敵陣についたとき、ノチウは全身に切り傷を受け、撃たれた矢は体中に突き刺さったまま、上半身の服ははだけ、弁慶の立ち往生のごとく絶命した。
絶命したノチウは蝗軍の指揮官により『八つ裂きにしてさらし者』にされそうになるが、同軍の剣士がそれを制する。そして、剣士により「武士(もののふ)に対してふさわしい最後を」と『首を落とされさらし者』にされた。結局晒し者にされるんじゃないか‥‥。
そして最終回第六話。首だけにされた後のノチウの姿が何度も描写される。ノチウの存在はアーシュラにとって大きなものであったため、この最期はアーシュラの戦意に火をつけた。指揮が上がった連合国は攻勢により蝗軍は撤退。戦いは一応の終結をした。
戦い後、雪に埋もれていたノチウの首はアーシュラによって見つけられ、彼女に抱きしめられた。
総評 ~マイナーに「なってしまった」者~
命を賭して道を切り開く主人公の師匠というポジションは作品内にて最も目立つ役柄の一つであろう。ヒットした作品内に同タイプのキャラクターがいれば間違いなくメジャーキャラだ。しかし、【作品について】の欄で触れたようこの作品は連載前に一巻で打ち切りと決まってしまった漫画で、事実そうなった。
もし、連載前から打ち切りじゃなかったらどれくらいヒットしていたのかなど知る由はないが、完全に芽を摘まれた作品が成り上がることはそうそうできる話ではない。「月刊Gファンタジー」自体もガンガンの姉妹雑誌というマイナーな立場だ。そういう状況を考えると『ウタリア戦記』のキャラクターたちは生まれながらにしてマイナーとなる「宿命」であったのだろう‥‥。
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06マイナー度
星5 ☆☆☆☆☆
日本雑誌協会HPには2008年以降のデータしか無いようなので「月刊Gファンタジー」の当時の発行部数は不明である。wikipediaに2006年3月に5万部とあるが、どこソースかわからない。ガンガンの姉妹雑誌という立場から考えればマイナーではあるが、2020年現在まで廃刊になっていないという事実から全く売れていないことも無いのだろうか?メディアミックスで売っているので雑誌自体は赤字なんてこともよくあるので正直わからない。
作者ツイッターによると単行本は「日本で4000部、台湾で2000部」らしい。また、「マンガ図書館Z」の閲覧数は2020/09/06時点で約14.700であり、特別高くも低くもない。作品についてこれ以上の数字は出てこない。
すべての要素においてマイナーだというのは間違いないが、マイナー度を付けるとなると悩む。作品についても雑誌についても、ネットの普及もまだな時代の漫画なのでたいした情報交換もされていなかっただろう。当時読んでいたのは相当コアなオタクか偶然目にした人くらいではないだろうか・・。
悩みに悩んだが、そもそも当サイトのマイナー度は軽い気持ちでつけている指数なので「マイナー雑誌」「日本での出版数が4000部」「単純に管理人が知らなかったリクエスト作品」ということでマイナー度星5にした。
参考
・「ウタリア戦記 閃光のアーシュラ」(山本夜羽)マンガ図書館Zより:https://www.mangaz.com/title/index?category=&query=%E3%82%A6%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2&sort=&search=input
・同上作品 アマゾン・キンドルより:https://www.amazon.co.jp/%E9%96%83%E5%85%89%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%A9%EF%BD%9E%E3%82%A6%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E6%88%A6%E8%A8%98%EF%BD%9E-%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E5%A4%9C%E7%BE%BD-ebook/dp/B00EDLTZ2Q/ref=pd_ybh_a_8?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=EZAQAMG7B8VCK39GPQ8F
・作者のTwitter「@johanne_DOXA」より 発行部数についてのツイート :https://twitter.com/johanne_DOXA/status/679672155093602304
・作者のTwitter「@johanne_DOXA」より作者の取材および打ち切りについてのツイート : https://twitter.com/johanne_DOXA/status/821264228308815873
・山本夜羽音|ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典 日本語版|最終更新 2020年7月4日 (土) 16:18:https://ja.wikipedia.org
・月刊Gファンタジー|ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典 日本語版|最終更新 2020年7月22日 (水) 13:53:https://ja.wikipedia.org
・エニックスお家騒動|ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典 日本語版|最終更新 2019年12月22日 (日) 07:44:https://ja.wikipedia.org
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